がん保険に入っていれば「がん」になっても安心だと思っていたのですが、友人が「がん」の治療をしてもがん保険からはお金が受け取れなかったと聞きました。
そんなことってあるのでしょうか?
現在、契約をされているがん保険は加入している保険の保障内容によってはすべてのがん治療が保障されるわけではありません。
加入内容については意識を向けておくことが必要ですので、がん保険加入で注意する点を解説します。
保障内容と治療内容
「がんになった」からといって、契約されているがん保険の保障内容によってはすべてのがん治療が保障されるわけではありません。
がん保険に入っていれば「がんになっても安心」というのは間違った認識です。
当然のことではありますが、がん保険は「がん」という病気に対して万能の薬として存在しているわけではありません。
加入しているがん保険の保障内容では、どんなことが保障されて、何が保障されないのか?
近年のがんの医療事情を踏まえて、認識しておくことが重要となります。
保障の対象とならない「がん」
がん保険という名称の保険だから「すべてのがん」が保障されるということではありません。
がん保険の種類によっては、保障されないがん、保障が少なくなるがんもありますので注意が必要です。
特に保険会社によって取り扱いが異なるのが「上皮内がん」です。
ご自身が加入されている保険の内容をよくご確認ください。
「上皮内がん」は保障の対象外
がん保険という商品自体が発売された当初の「20年以上前」(1970~2000年代くらい)のがん保険は上皮内新生物といわれる「上皮内がん」はがん保険の保障の対象外としているがん保険が多くありました。
一般的に上皮内がんは「がん(悪性新生物)」の特長である、浸潤と転移をしない病気といわれていますの。そのため上皮内がんになったとしても治療は、他のがんと比較すると早く治療が終わるケースが多いようです。
そのため、上皮内がんに対する備えはがん保険では保障の対象外とされてきました。
「上皮内がん」は少なめの保障
ところが、上皮内がんに対しての保障が無い保険会社は、上皮内がんを保障する保険会社と比較すると「保障が不足している」ような印象をお客様に与えてしまっているようになりました。
実際、保険営業の担当者が「●●保険会社のがん保険は『上皮内がん』が保障されないですが、うちは保障がありますから」と営業をするようなケースもありました。
そのため、他のがんと同様に上皮内新生物に対しては100%保障するのではなく、金額を抑えた保障をすることによって「上皮内がんも保障される」ように商品改定をするようになってきています。
「上皮内がん」も同様に保障
一部の保険会社では、上皮内がんであっても他のがんと同様に全額を保障する(同じような金額で保障する)というがん保険もあります。
治療が軽くて済む可能性が高い上皮内がんであっても、治療が重くなる可能性が高いすい臓がんのようながんであっても、どのようながんでも、同じように保障するというタイプのがん保険です。
保障の対象とならない「治療」
がんの治療内容に応じて保障されるのが「がん保険」ですが、治療費がそのまま保障されるということではありません。
例えば、今ではかなり少なくなりましたが、入院給付金だけが付いているがん保険の場合。
入院をせずに、日帰り手術と外来で放射線治療のため通院。と言った場合であれば、入院給付金だけのがん保険では保障される部分がありませんので、給付金は受け取ることができません。
ご自身で加入されているがん保険は、どのような時に保障されるのかをしっかりと確認しておくことが大切です。
その上で、「私のがん保険では、この場合は出ないんだな」と認識しておくことで、実際にそのような状況になった時も状況を受け入れやすくなります。
最新のがん保険も将来は不確か
がん保険の商品サイクルは早く、新しいタイプのがん保険が次々と発売されています。
それは時代の変化、社会情勢の変化、医療事情の変化に合わせて、その時々で最適ながん保険を保険会社が開発し、発売しているからです。
保険という商品は、確率です。
がんという病気になる人、その人たちが入院や手術をする確率から保険料を決めています。
しかし、その基準となるのは「過去のデータ」です。
未来をある程度は予測して保険商品の開発や設計はされていますが、誰にもわからない未来のことは確定ではありません。
保険会社としても大きな冒険、リスクを取ることができません。
例え、最新タイプのがん保険であったとしても、それは過去のデータを元に開発をされているがん保険であるということです。
将来の見直しができるがん保険選び
そのため、私がおススメしたいのは将来的にも見直しをすることができるタイプのがん保険を選ぶということです。
現時点では最新で、最高のがん保険かもしれませんが、将来的に古いタイプのがん保険となることは確実です。
将来、新しいタイプのがん保険が発売された時に、より見直しがしやすい、選択がしやすい状況を今の時点から作っておくことで、将来大きな変化が訪れたとしても対応できるようにしておくことが需要です。
例えば、考えられる未来として(私の勝手な予想です)
- 入院が無くなり、在宅医療が中心となる
- 手術が減り、放射線治療や抗がん剤治療が中心となる
- 薬だけで「がん」が治る特効薬が開発される
- がんは取らずに温存することが主流になる
- 抗がん剤とは違ったタイプの薬剤ができる
- 遺伝子治療ができる
というように、様々な可能性が考えられます。
しかし実際には、将来どうなるかは誰にも分かりません。
分からないがん治療の未来ではありますが、医療技術の発達、社会保険料の負担増、高齢化社会などの状況を考えた時には、今のままではないことは確実です。
不安を増幅させる必要はありませんが、どのような状況になっても対応できるようになっておきたいものです。