近年、民間の保険会社から発売されている多くの医療保険やがん保険は「掛け捨ての保険」です。
お金が貯まる保険なら考えてもいいけれど、入院をしても貯蓄でやり繰りすることができるから医療保険には入る必要がありません。というご相談です。
医療保険に入る目的は?
医療保険は病気やケガで入院や手術をした時にかかる様々な費用(医療費や生活費、給与の補填等)を経済的にサポートするための保険です。
医療保険に加入していたとしても、加入中(保険契約の継続中)に病気やケガにならなければ医療保険から保障としてのお金を受け取ることもありませんので、入院や手術の保障だけのシンプルな掛け捨ての医療保険であれば、ずっと健康状態を良好に保つことができ、入院や手術をすることが無ければ、医療保険の加入は無駄に感じられるかもしれません。
入院によってかかる費用
病気やケガで入院をすることによってかかる費用をリストアップしてみましょう。
- 病院での治療費
- 個室に入るための差額ベッド代
- お見舞いに来る家族の費用(交通費や食費)
- 家庭をお持ちの方であれば、家族の生活費
- 一人暮らしの方であれば、基本的な住居費
(入院をしても免除されることはありません。) - お仕事の内容によっては入院や手術により仕事に行けない、休みがちになることで普段より収入が減少してしまう可能性があります。
病気になっても貯蓄で大丈夫
医療保険に加入されない方に「医療保険に加入しない理由」を聞いてみると、その一つとして「貯蓄があるから大丈夫」というものがあります。
もしも病気やケガで入院をしたとしても貯蓄から支払うことができるから、医療保険は必要ない。という意見です。
病気やケガで療養をしてもその際に困らないだけの貯蓄があるのであれば、医療保険に入る必要がないのかもしれません。
世代別の貯蓄状況
参考までに日本人の貯蓄と借り入れの状況を厚生労働省のデータからご紹介させていただきます。 厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」では、世帯主の年齢階級ごとに貯蓄額がどのくらいあるか確認することができます。

続いて、借り入れの状況です。

貯蓄が減っていく不安感を軽減する
病気やケガで入院や手術をして、それまでに貯めたお金から治療費や生活費を出すことができるのであれば医療保険に入る必要はないのかもしれません。
問題は、貯蓄の場合はお金が日々減っていく。という不安感に耐えられるのかどうか?ということです。
入院が長引く、治療が長引いて仕事ができず収入減の期間が長引く、といったような状況では貯まっていたお金の残高はどんどんと減っていきます。
貯蓄を投資信託や株式等の投資商品を利用されていた場合は、パフォーマンスの悪い状況で解約や損切りをしないといけないかもしれません。
当然ながら、病気が長引いても数年は問題が無い。というくらい貯蓄があるのであれば安心できますが、貯蓄だけで安心できないのであれば医療保険への加入は経済的なサポートとして安心できます。
医療保険は、入院をする日数に応じて給付金を受け取れる、手術の内容、回数に応じて給付金を受け取れるようになっていますので、入院によって日々お金が減っていくという不安感からは少し解放されるのではないでしょうか?
医療保険の場合、注意したいのは保障される入院日数に制限があります。(60日や120日等)保障される入院日数を超えた時には貯蓄でカバーできるように経済状態を構築する。というのも一つの考え方です。