最近の医療保険は商品の特性として2つの傾向性に大きく分けることができます。
それは、通院保障を付加できる医療保険と通院保障を付けることができない医療保険です。
「通院保障」というとなんだか必要性が高そうなイメージがあるかもしれませんが、今回は医療保険の「通院特約」が必要かどうか?通院特約に入った方がいいかどうか?について書いていきます。
通院保障のある医療保険
医療保険の基本的な保障は「入院や手術」に対する保障です。
しかし、それだけではなく病気やケガによって「通院」となった場合にも給付金が受け取れるような「通院特約」を付けることができる医療保険が発売されています。
病気やケガをして通院をすることになれば、病院に支払う治療費だけではなく、病院に行くための交通費が必要です。
また通院のために仕事を休む必要があればその間の収入が減少するといったことが考えられます。
加入している医療保険からお金を受け取ることができるなら助かる、と考えて通院保障付の医療保険を選ばれる方も多いのではないでしょうか。
まずは通院保障が付いた医療保険を選ぶ際の注意点です。
医療保険の「通院保障」の特長
医療保険は病気やケガで「入院や手術」をした時に保障内容に応じて、給付金を受け取ることができる保険です。
「入院、手術」の保障が基本で、契約時に必要に応じて基本以外の保障を特約として付加することで内容をより充実させることができるようになっています。
主な特約としては、先進医療保障、三大疾病の保障、がん保障、女性特有の病気の保障、ケガの保障、介護保障、就業不能保障、死亡保障などがあります。
*付加できる保障の種類は保険会社によって違います。
その中の一つに「通院保障」を特約として用意している保険会社、医療保険商品があるのです。
医療保険から「通院の保障」として給付金を受け取るには一定の条件を満たす必要があります。
その条件は、通院をしただけでは給付金は受け取れないということです。
通院保障から通院給付金を受け取るには、まずは入院給付金の保障対象となる病気やケガで入院をする必要があります。
そして対象となる入院が終わり、退院後に通院した場合に通院保障の対象となります(医療保険によっては、入院前の通院も通院保障の対象となっている商品があります)。
さらに保障される日数にも制限があります。
通院保障で保障されている入院後(または前後)の通院は、退院の翌日から120日以内または180日以内の通院が対象。そして通院の保障限度日数は30日以内となっている医療保険が一般的です。
通院にかかった費用には関係なし
医療保険の特徴の一つとして実際にかかった医療費等とは関係が無く、給付金として定められた金額が受け取れるという点があります。
例えば、通院給付金として1回の通院で5,000円が受け取れる医療保険に加入していたとします。
病院の外来への通院で実際にかかった費用は500円だっとしても医療保険から受け取れるのは5,000円です。
より多く支払ったとしても同じです。
例えば、検査や薬剤の費用が多くかかり治療費として窓口で支払ったのは8,000円。さらに体調が悪く病院へはタクシーで移動したためタクシー代として往復5,000円がかかった。としても受け取れる給付金額は決まっています。
実際にかかった費用とは関係なく、加入時の給付金額として決めた金額が受け取れるのが医療保険です。
がん保険の通院保障
最近のがん治療は放射線治療や抗がん剤治療が増えたこと、また手術であっても技術の進歩によって日帰りや短期入院での手術が増えています。
そのため、がんの治療であっても入院だけではなく通院で治療をするという方増えています。
がん保険の場合、上記のように「がん治療には長期の通院」が必要となってきている傾向から、通院による医療費が高くなってきています。
そのため、がん保険として「通院保障を充実」させているがん保険が増えてきています。
もちろん、がん保険に入らず医療保険の通院保障でカバーすることもできますが、「がんの保障に特化」したがん保険と医療保険では通院保障の内容が大きく異なります。
がん保険の通院給付金は医療保険とは違って入院の有無にかかわらず、放射線治療や抗がん剤治療といった特定の治療を行った場合に限っては通院保障が支払われる通院給付金があります。
がん治療で入院して退院する際に一時金を受け取ることができる退院療養給付金などがあります。
また、がん保険は診断一時金100万円というように大きく設定されている商品も多いですので、受け取った一時金を通院費用に充てるということもできます。
がん治療による通院費用の増加が心配ということであれば、医療保険の通院保障ではなく、通院保障が充実したがん保険を選ぶということも一つの方法です。
医療保険の「通院保障」は必要か?
では、医療保険に通院保障の特約は必要なのでしょうか?
まず通院をする確率の問題です。
病気やケガで入院、さらにはその後、通院する可能性はどのくらいあるのでしょうか。
「患者調査(平成26年・厚生労働省)」では、入院患者の約79%が、退院後に通院をしています。
もちろん病気やケガの種類や地域性、お仕事等によって個人差はありますが、かなり高い確率で「入院後は通院をする」可能性があります。
次に考えたいのは、ご自身が通院をするタイプかどうか?です。
私は個人的には通院保障を考える上で非常に重要な要素であると思っています。
病気によってはどうしても通院をしなければならない。という状況になってしまうこともありますが、人によっては病院が嫌い、病院に行くのが面倒。というタイプの方がいらっしゃいます。
また、お住まいの地域や交通事情によっては病院までの移動が大変で、なかなか通院をすることができない。という方もいらっしゃいます。
医療保険の通院保障は通院した回数です。上限は決まっていますが、保障の対象となる通院回数が多いほど給付金を受け取れる額は多くなります。
通院保障が付いた医療保険に加入しているのに、ほとんど通院をすることが無かった。ということでは、加入している意味がないともいえます。
病気になった後の不安に
病気になった後は多くの人が不安になってしまいます。
健康な時には思いもしなかった不安が出てくることもあります。
退院後にしばらく通院をすることになると、ご自身が思っていたよりも多くの費用が必要となるかもしれません。
また、体調が悪くなったり、病気やケガの後遺症で今までと同じようには働くことができなくなり、収入面での不安もでてくる可能性があります。
通院保障はそんな病後の不安に備えるための選択肢のひとつです。