病気になってしまう(病歴がある)と生命保険や医療保険には加入することができなくなってしまう。と考えている人は意外と多いのはないでしょうか?
一方で、最近のテレビCMや雑誌・新聞広告等の効果もあってか「病気になっても入れる医療保険、生命保険があるから大丈夫」と考えている方もいらっしゃいます。
どちらも正しい情報ではあります。
今回のケースで対象となる保険の種類は、病気になっても入れる「緩和型、限定告知型」と言われている医療保険です。
実はこれらの保険には注意しておきたい点がたくさんありますので、病歴がある人の医療保険の選び方について解説していきます。
病歴がある人も入れる医療保険
近年は病気になった人、病気がある人、現在病気の治療中で通院をしているという人でも加入できる医療保険が増えています。
病気がある人でも入れる医療保険が増えている理由は様々あるとは思います。
大きな要因の一つには一般的な医療保険の加入が飽和状態にあることです。
医療保険が一般的に認知されてきたことにより、多くの人が医療保険には既に加入しています。その結果として医療保険には多くの人が加入済となってしまったので、保険会社としては新規の加入者を増やすことが難しくなってきているのです。
実際、わたしが保険ショップで販売の仕事をしていたときも、今回、初めて医療保険に入ります。という人は非常に少なく、いま入っている医療保険を見直したい。という人の方が圧倒的に多かっという印象がありました。

そのため保険会社としては、今までは入ってもらうことができなかった「病気がある人」でも入れる医療保険を発売することによって、医療保険の加入者をより多く獲得しようという狙いがあります。
医療保険の加入時は正直に告知
保険というものは、年齢の条件さえ満たしていれば基本的には誰でも加入手続きをして実際に加入することができます。
但し、加入した保険からしっかりと保障を受け取れるのか?というと必ずしもそうではありません。
その理由は、
告知義務違反
医療保険の加入時に嘘の告知(病歴等の記入)をすれば、誰でも保険には加入することが可能です。
問題は、契約後に保険の請求をした際に医療保険加入時の「嘘」がわかってしまったときです。
保険会社は「告知義務違反」として厳しく対応します。「嘘」がある契約が存在することで、保険としての機能が成立しなくなってしまうからです。
例えば、A社の医療保険に入っている人の半数が嘘をついて加入して、病院に通院しているのに「病院には行ったことが無い」という告知(報告)をしていたとします。
当然のことながら、病気になったり、入院をしたりする確率は高くなりますので、想定している保険料よりも高い確率で保険金、給付金を保険会社は支払わないといけなくなり、保険が成立しなくなってしまうからです。
どのような保険であっても、病名や病歴、治療歴、職業などの個人的な情報を記入する場合は、質問事項に対して正直に回答することが重要です。
嘘を書いても何も良いことはありません。
病名や治療経過によっては、通常の医療保険・終身保険に加入できる場合もあります。
生命保険や医療保険を検討する際、ご自身に何らかの病気があったり、病歴がある場合は、対応してくれる保険営業の担当者やプランナーに自分自身の病歴を告げたうえで、どの保険に加入できるのか確認、相談することが大切です。
病気があると入れない保険がある
生命保険や医療保険は、どんな人でも無条件に加入できるわけではありません。
但し、先ほども書いたように「嘘」を書けば、誰でも入れますが、その後に嘘を書いた本人自身が大きな損失を被ることになります。
保険の申し込み時に記入した内容を受けて、保険会社は審査を行います。
そして、記入した健康状態、同一の保険会社で加入歴がある場合は保険の請求履歴、場合によっては他社の加入状況等を総合的に審査します。
加入ができないと判断した場合は、「引受不可」という判断をしたり、契約はできるが契約にあたっては一定の「条件」を付けるということもあります。
なぜ、契約に差があるのか?
生命保険や医療保険の保険料は年齢と男女の性別によってのみ決まっています。
そのため、既に病気をしたことがある人、現在病気の治療中の人と、今まで病気をしたことが無い人では病気や死亡のリスクが大きく変わります。
リスクが高い人とそうではない人が、同じ保険料で同じ保障を受けられるということになれば、加入しているすべての契約者の公平性を保つことができなくなってしまうからです。
そのため、告知書に病歴や職業(業務内容)を記入してもらうことによって個々人のリスクを査定し、契約についての可否を決めています。
病気の人でも入りやすい医療保険の注意点
病気がある人でも入れる、入りやすい医療保険は告知する項目が少ない、多くの保険会社が「はい・いいえ」の2択で回答するようになっています。
質問事項の一つでも「はい」に当てはまると加入できないというような仕組みになっている場合が多いです。
告知書の質問事項が限定されている医療保険ですので、加入しやすいという特徴がある半面で以下のようなデメリットもあります。
1年以内は保障が削減(半分)
保険会社、医療保険の種類によっては一年間は保障が半分になっています。
契約をしてすぐに病気で入院や手術をして保険請求をされても、満額の給付金が出ないようになっています。
例えば、1か月以内に手術の予定がある人が、病気がある人でも入れる医療保険に加入し、加入後すぐに保険の請求をしてお金をもらって保険を解約する。ということを防ぐためです。
例えば、入院給付金の日額1万円の医療保険に加入した場合であれば、削減期間中の1年間は入院給付金額が5,000円になります。
削減対象は入院の日額だけではなく、手術給付金、通院給付金、先進医療に係る技術料等も含まれるので、加入前にどの保障がいつまで削減されるのかをしっかりと確認しておきましょう。
また、削減期間中であっても保険料は同じです。
保障が半分に削減されているからといって、保険料が半額ということにはなりません。
一般の医療保険に比べ保険料が割高
病気がある人でも入りやすい代わりに保険料が高くなっているのが特長です。これは健康な人に比べて入院や手術をする確率が高いためです。
加入する際には、割高な保険料であっても加入する価値があるのかを検討することが重要です。
事前の相談で一般の医療保険も検討
もし、病気があるから、病気をしたことがあるから一般的な医療保険に加入するのは無理。と思っておられるのであれば、加入する前に営業の担当者やプランナーに相談をしてご自身の病気が本当に一般的な医療保険には加入できないのかを聞いてみることをお勧めします。
病気の種類、治療期間、完治からの経過期間によっては一般的な医療保険に加入できる場合もあります。
保険がすべてではない
病気になったことがある方は、保険に必要性や大切さを強く感じておられるかもしれません。
そのため「医療保険に加入していないと不安」という思いも強く持っておられる可能性が高いです。
病気になったことがある人でも入りやすい医療保険は、以前に比べると保険料が安くなってきています。また、保障内容も充実している傾向にあります。
しかし、絶対的に一般的な医療保険に比べると保険料が割高になってしまうのは仕方がないことです。
不安に対して備えるのは保険だけではありません。
世の中には様々な手段、方法があります。
ご自身の不安に思っておられることに対して、再度考えてみた上で、医療保険が本当に最適なのかどうかを考えてみるのも一つの方法ではないでしょうか?