保険を検討する際によく聞くのが「掛け捨て」という言葉。
「掛け捨て」と聞くと「捨てる」という言葉が入っているので良くないようなイメージもあります。
「掛け捨て」の保険は、どうなのでしょうか?
「掛け捨て」タイプの医療保険とは?
医療保険を検討される際によく聞くのが「掛け捨ての保険は良いの?悪いの?」という相談です。
「掛け捨ての保険」という言葉だけを聞くと、保険料を『捨てる』ようなイメージを連想してしまって、保険料が「もったいない」という発想になってしまう方が多いようです。
「掛け捨ての保険」をシンプルに表現するのであれば、支払った保険料がそのまま保障として使われる。ということです。
一般的な消費財を買うのと同じようなイメージです。
野菜を買うのは、購入する野菜の価値との交換であり、パソコンを買うのはパソコンの性能等が持つ価値との交換です。
保険料を加入する保険の保障代として支払っているのが「掛け捨てタイプの保険」です。
掛け捨ての反対は「積み立て」タイプの保険
掛け捨てタイプの保険の反対を考えてみると分かりやすいかもしれません。
「掛け捨て」タイプの保険の反対は「積み立て」タイプの保険です。
支払う保険料の一部が積み立てられて、保険を継続することでお金が貯まっていくというタイプの保険です。
代表的な積み立てタイプの保険は、個人年金保険、養老保険、終身保険があります。実は医療保険で積立タイプというのは、商品数自体が少ないのも特長です。
医療保険の積み立てタイプということであれば、医療保障を確保しながらも、お金が貯まっていく。ということになります。
積み立てタイプ①保険料が高い
「積み立て」と「掛け捨て」タイプの医療保険を同じ保障内容で比べてみると、保険料が高くなるのは「積み立てタイプ」の医療保険です。
掛け捨てタイプは保障代だけを支払うのに対して
積み立てタイプは保障代+積み立てるお金を支払うために当然ながらその分だけ保険料は高くなります。
掛け捨てと積み立てタイプでは単純に保険料だけを比較すれば、積み立てタイプの保険料が高くなっていますが、その分お金が貯まっているので保険料は高くなっているのです。
積み立てタイプ②保障代はいくら?
「積み立てタイプ」の医療保険を考える際に重視したいのは、保険料の内訳です。
「積み立てタイプ」の医療保険は支払う保険料の全額が積み立てられているわけではありません。
例えば、毎月1万円の保険料を払う医療保険の場合。年間で12万円。10年間では120万円の保険料を払うことになります。
では、10年後に支払った保険料の120万円が受け取れるのか?というと、そのようにはなりません。
毎月支払う1万円の保険料の一部が積み立てられ、一部が保障代(=掛け捨て)として使われているからです。
結果的には、積み立てタイプの医療保険に加入したとしても、その保険料の内訳には「掛け捨て」部分が必ず含まれているということでもあります。
積み立てタイプ③お金はいつ受け取るの?
保険料を多めに支払うことでお金が貯まっていくというメリットが得られる「積み立てタイプ」の医療保険ですが、問題は貯まったお金を「いつ」受け取るのか?ということです。
これは、加入される保険によって異なります。
5年、10年、15年というように一定期間ごとに受け取れるタイプ。死亡時に受け取れるタイプ、解約時に受け取れるタイプがあります。
注意したいのは「解約」です。積み立てタイプの医療保険でお金がどんどん貯まっていくのは嬉しいですが、現金化するには「解約」をしなければならない。という保険です。
解約することによってお金を受け取ることはできますが、同時に医療保障は無くなってしまいます。保険は長年かけ続けることによって、お金も蓄積されていくという特長がありますが、お金が貯まったころには病気になりやすい年齢にさしかかっている。ということがあります。
積み立てタイプ④途中解約に注意
積み立てタイプの保険は途中で解約すると積立部分に支払った保険料よりも少ない金額でお金が戻ってくるということがあります。
加入年齢、保険会社、保険の種類によっても異なりますが、一定期間以上の継続、所定の年齢まで健康である。ということが条件となり、所定の金額を受け取れるようになっています。
そのため、一定の期間に達する前に契約を解約してしまうと、損になってしまう可能性があります。場合によっては、掛け捨ての保険の方がお得だったということもあります。
積み立てタイプ⑤商品の種類が少ない
掛け捨てよりも、積み立てタイプの医療保険に魅力を感じる。という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし残念なことに最近は積み立てタイプの医療保険の商品数が減少傾向にあります。医療保険と言えば、ほとんどが掛け捨ての保険という保険会社が圧倒的に多くなってきています。
結局、どちらの医療保険を選べばいいの?
掛け捨ての医療保険と、積み立てタイプの医療保険について、それぞれの違いをご紹介しました。
それらを踏まえたうえで、「掛け捨てタイプの医療保険に向いている人」「積み立てタイプの医療保険に向いている人」をまとめましたので医療保険選びの参考にしてみてください。
●掛け捨てタイプの医療保険が向いている人
- 毎月の保険料を少しでも安くしたい
- 病気やケガの保障をより充実させたい
- 医療事情の変化に合わせて将来も保険の見直しをしたい
●積み立てタイプの医療保険が向いている人
- 「掛け捨て」という保険が嫌い
- 将来にかけて自分自身の健康状態に自信がある
- 医療保障を確保して、お金も貯めたい
結局のところ、「医療保険に何を求めるのか?」ということが重要な選択基準になってきます。
特に最近では低金利の影響で、保険に貯蓄性(お金が貯まる機能)を求めることが難しくなってきました。
個人的なおススメは、医療保険でしっかりとした保障を手に入れ、お金を貯めるのは保険以外の手段で考えるのはどうでしょうか?